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二代目左官職人が『リアル』と向き合うためのヒント

2020.03.24

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蒼築舎・松木一真さん

[MIJPものづくりセミナー]について、
本セミナーを企画した一人、蒼築舎の松木一真さんからのメッセージです。

セミナーを受ける前に皆さんと問題共有し、
日本のものづくりについて考えることができればと思い、
一真さんが抱える問題を言語化してくれました。

 

二代目左官職人が『リアル』と向き合うためのヒント

 

なぜ、私が今回NHK映像デザイナーの服部さんを呼んだのか

皆さんは自分の職に関してそれぞれの考え方や、やり方があると思う。
業界によっても異なり、役職、部署、など与えられた役割などによって

仕事への価値観や考え方などは様々だ。

蒼築舎・松木一真さん

私であれば、

職人として受注されたものを、納期に合わせて品質の高いものを生み出しており、
そのためには職人としての経験を重ね、自分自身の能力や技術を磨き他者と切磋琢磨している。
皆それぞれ、立場や役割が違えば考え方は変わる。
前途で記載した通り、私は職人であり、左官を生業としている。
左官の仕事はコテという道具を使って壁や床を塗る仕事で、その幅は広く、近代的な仕事ではセメントを使ったコンクリートやブロック工事、伝統的な仕事では土壁や漆喰等がある。

主に私は後者の伝統的な仕事をメインに技術を磨いている。

蒼築舎・松木一真さん

しかし、伝統的な左官の技術が、今現在減少の一途を辿っている。

自社の土壁や漆喰は自然の素材を使い、経験や技術を活かして壁やプロダクトを制作している一方で、新しく作られた材料や工法での依頼が増えてきた。
新建材はバリエーションも豊富でかなり本物に近い品も出てきている。誰もが簡単に扱い施工できるもの方が効率良く早く仕上がるからだ。しかし新建材にも多くの問題点がある。
新建材は湿気や有害になりえる物質を効率よく対処することができていた土壁がなくなったことにより、シックハウス等の病気にまで発展してしまった。合理的に見えたものも、思わぬ弊害が生まれてしまったのだ。
そのような状況にありながらでも、新建材がスタンダードになり、伝統的な仕事はかなり減ってきているのが現状にある。
否定するつもりはないが、このまま伝統的な仕事が減っていくと、近い将来土壁に欠かせない素材の生産がなくなり、私自身が伝統を受け継ぐ事も難しくなる。さらに、私の次の担い手となる若手の育成にも影響を与え、環境問題においても新建材の工業製品は自然にかえす事が困難になる。

つくり手としては良いものを残したいが、このままだと本物が無くなり新しい利便性が高いものだけが残っていく。新建材がいつの間にか伝統技術にとって変わり、本物になり得る可能性があるのだ。

蒼築舎・松木一真さん

これを読んでいただいている皆様も、

私と似たような問題を抱えているかもしれない。
左官の職人だけではなく、仕事をしている人たちにとってこのような問題があることは当然のことで、一つでも多く解決するために日々動いているであろう。
そんな時、たまたま解決のヒントの一つになると感じたのが、服部さんだ。
NHKの映像デザイナーで数多くのヒットコンテンツをデザインしている服部竜馬さん。
NHKの公共放送という、民放放送とは違い、NHKはこうであるべきというイメージやNHKの固い縛りがある中、「第69、70回紅白歌合戦」「チコちゃんに叱られる!」「8月31日の夜に。」「復活の日」など国民的な番組や大人気番組、テクノロジーを駆使した革新的な番組などデザイン・参画してきた。
デザイナーという職種でありながら、自分の仕事の領域や役割を広げることで、
新しいものづくりの形や、ヒットするコンテンツに多く携わってきた。
服部さんの仕事の仕方や役割に私の抱えている問題を解決する仕事のヒントがあると思い、今回依頼した。
なぜ彼なのかというと、「NHK」という固い縛りが、私の「伝統」とリンクしているように感じたからだ。
私の中にある伝統が「こうであるべき、こうあり続けるべき」というNHKのしばりに近いと思ったのだ。
皆様もそのような「するべき」「あるべき」などの様々な縛りに直面することがあると思う。
上記のような「するべき」「あるべき」はもちろん大切なことだと思うのだが、
左官のように従事者が減少している状況を持っていると、漠然とした危機感を覚え、
「するべき」「あるべき」が本当に正しいのか、離れた方が良いのではと考えることがしばしばある。
服部さんの仕事のつくり方は今後の作り手として最高のベンチマークになると思ったのだ。新しい役割や業務を拡張しながら、自分の仕事の可能性を広げ深みをもたらし、

一つの枠に囚われず、点で区切らず点を繋げて拡張して更に良いものを作る。自分の新しいものつくりへのヒントがそこにはあると思う。

蒼築舎・松木一真さん

服部さんの話を聞いて、ただ新しいことをするのではなく、伝統順守するのでもない。

左官の仕事の一つに茶室があり、
茶道や花道、書道など芸道で使う言葉で「真・行・草・破格」というものがある。
真はフォーマル、草はカジュアル、行はその中間を表し、破格はその概念に収まらない物。

これまでは比較的「真」の良いものつくりとされてきたが、
現代ではそう言った概念がなく、人によって変わってくる。

服部さんの話しは、きっとモノづくりへ関わる方の意識を変えてくれる力があると私はそう思っている。

 

▼セミナー開催概要

日時 2020年4月3日(金) 18:00受付開始、18:30開会 延期いたします。
場所 なごのキャンパス 1階HOMEROOM
〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野2丁目14−1
*JR/名鉄/地下鉄東山線・桜通線 名古屋駅 桜通口より徒歩8分
会費 2,000円
定員 70名
主催 NPOメイド・イン・ジャパン・プロジェクト

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